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その年の秋、待望の2坪ほどの温室ができました。屋上に建てたので、植物の冬越しには最適だと勝手に思い込みました。シラネアオイをもちろん入れました。
翌春です。カトレア類の仲間は例年になくいい状態で冬を越し、花を付けました。目指すのはシラネアオイです。いつもですと、残雪の中に、蕾を包んだ葉の頭が出てくるのです。3月末になっても、鉢の表面に変化がありませんでした。たまりかねて、そおっと表土をかき分けてみました。根も葉もありません!
その分の空洞があるだけでした。驚きと落胆が一緒に来ました。
私は、自然に逆らった大きな過ちをしたのです。亜高山性で残雪の中に咲くこの子を、冬、温室に入れたのです。サハリンの植物を熱帯地方に移したようなものです。自然の在り方に則って、それに近付けた育て方をしなければならない鉄則を、あまりの可愛がり過ぎで、忘れてしまっていたのです。
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