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ツツジ科の花のなかで、ツガザクラやドウダンツツジのように壷型に咲くもののほかは、どの種でも、開花後間もない花を、逆光に透かして見ると、まるで肉眼でさえ細胞膜が分かるように、きらきら輝く結晶体の集まりに見えます。思わずルーペでのぞいてしまいます。 |
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しかし、意外な光景を目にしました。房状に枯れかかったキバナシャクナゲの花柄の塊のなかに、一つだけ、時期遅れの黄花がぽつんと立って咲いていたのです。それが、あちらにも、こちらにもという状態で、ハイマツとキバナシャクナゲの混在する地帯のいたるところに、一つだけの花が見られたのです。
シャクナゲの花の付き方は房状の集散花序の形ですので、数個の花柄の一番先端にある一つだけが、つぼみ状を長く保ち、時期をずらせて開花していたのです。『遅れてきた子』なのです。驚きでした。 |
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20年後の今、平地に降りてきて、安楽の日々を過ごしているミヤマオダマキは、毎年5月初めころ数個の平凡な花をつけます。『遅れてくる子』はもうだれもいません。背丈も20cmはあるでしょう。「ミヤマ」の名を冠ぶせるには少し気恥ずかしい姿です。安心しきった生き方なのかもしれません。株は、あの凛としたときのそのものなのですが・・・。 振り返ると、植物たちは、今も「進化」と呼ばれる環境との適応・調整・共存のみちを歩んでいるのですね。『遅れてくる子』は、万全を期す彼らの奥深い、畏れを感じるほどの知恵なのではないでしょうか。 |
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