こまきね流自然塾    筆者と共に、身近なところに宇宙の真理と神秘を探して見ませんか?

Vol.1 百合の引っ越し
Vol.2 『手の平を返す』ガクアジサイ
Vol.3 遅れてくる子たち
Vol.4 「実を着けるということ」
Vol.5 「産まれたところが一番<前編>」
Vol.6 「産まれたところが一番<中編>」
Vol.7 「産まれたところが一番<後編>」
Vol.8 オキナグサの「啓蟄(けいちつ)<前編>
Vol.9 オキナグサの「啓蟄(けいちつ)<後編>

Vol.10コケリンドウ
Vol.11シラネアオイの気品(一)
Vol.12シラネアオイの気品(二)
Vol.13シラネアオイの気品(三)
Vol.「アケボノスミレ」の妙技
(一)

――― 植物のイデアL―――
 
   シラネアオイの気品
      <第三回>

 その年の4月、池袋のTデパートの山野草売り場で、シラネアオイの苗を手に入れました。初めて出会ってからすでに20年あまりも経っていました。今度こそ、自然に習う。もう、死なせてはならない。


 底穴を広げた深鉢で、根株を通風の良いスポンジ状砂礫で囲み、それをふっくらと包むように通気性のある腐葉土で守り、鉢の中に煙突のような機能をもたせ、工夫に工夫を重ねて、暑い東京の夏を越せるようにしました。
 季節に合わせ、あの「かぐや姫」に出会った場所・自然条件を思い描きながら水をやり、落ち葉の季節は冬のままに、恐らくは、雪深いカマクラのような条件を整えてやることにしました。
 咲いたのです。苗を入手したから3年目に・・・。花はやや小振りでしたが、アオイ似の葉が展開した頂点に、独特の気品に満ちた、世界に一属一種しかない薄紫色のシラネアオイが・・・。重い鉢をだきしめました。一番高い棚の上に移しました。冷たい風が吹き抜け、花びらがゆれました。

 

 

 名前の由来になった「白根」山は、私が遭遇した草津に近いところの地名ではなく、日光・中善寺湖の白根山で、その地に多かったと後で聞きました。キンポウゲ科ではないということも知りました。知らないことばかり、学ばなければならないことばかりです。


 家族の都合で、住居を新潟県長岡市に移しましたが、シラネアオイにとっては、雪の多い地方なので、喜んでいるかもしれません。
 
   

by F.KOMAKINE