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Vol.56きんや先生の雑木ばなし [10/6] |
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| 栗は大昔から偉かった! | ||||
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青森の三内丸山遺跡は、縄文時代の大きな集落の遺跡なのだそうだが、周りには栗の木がいっぱい植えられていたそうだ。自然に生えていたのではなく、重要な食べ物であるクリを選んで周りに植えていたのではないかというのだ。 |
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| 南部家の鍋倉城跡にあった、遠野を一望できる我が家のリンゴ畑にも一本の栗の木があった。実は小さかったが大きな木からたくさんの栗の実が収穫できものだ。 小さいながらも畑の手伝いに行っていた私たち兄弟は、一日に何度も木の下に行った。少しずつ落ちた実を、竹で編んだ「ハキゴ」という、腰につける小さなくびれたザルに拾っては家に持ち帰り、薪ストーブで煮てもらって食べたものだ。 歯の弱かった私は、自分の口で割って食べることが苦手だったので、おばあさんが包丁で一つずつ皮と渋を剥いて自分用に貯めていた実を盗んで食べたものだ。 |
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栗やイモが大好きだった親父は、青年になってクリなど見向きもしなくなった私たち兄弟を無視して、年をとってからも自分の分だけ良く煮て食べていた。
町に近かった我が家のリンゴ畑には良く子供達が盗みに入ってきたが、リンゴを盗まれるよりクリを盗まれるのが悔しかったのか、親父はクリ泥棒の少年達を真剣に追いまわしていた(もちろん何処の子たちなのかは判っていたのだが・・・)。そのころ私は、悪童達と別のリンゴ畑に盗みに入り追いかけられていたのだった。 |
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栗はブナ科の落葉する高木。あまり太くはならないが高さは20mくらいまで育つ。材質は堅く腐らないので土台や浴室用の材料に適している。特に枕木に使われ、全国に鉄道網が広がった時代にずいぶん伐採されてしまった。 |
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クリ属は北半球に10種ほど。日本の栗はシバグリやヤマグリと呼ばれ小さくても甘い品種。これをもとに品種改良が進み実が大きくなったが渋皮はあいかわらず離れにくい。天津甘栗で有名な中国で栽培されている「アマグリ」(シナアマグリ)は渋皮がむけやすい種類なのだ。 |
| 天津甘栗とともに有名なのがヨーロッパのマロングラッセ。これに使われるのはやはりヨーロッパや北アフリカ原産の「セイヨウグリ」と呼ばれる種類で、ニホングリよりもやや小さく甘味も中ぐらい。このセイヨウグリも日本での栽培には適さない。アメリカ大陸にもクリはあるが、やはり実は小さい。しかし高さが30mになるので、おもに家具や枕木用に栽培されている。 |
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| 山で拾ってきた栗を食べていると、美味しいのだが、虫の多さにあきれることがある。穴のあいていない実を選んでいるつもりなのだが、あのかじった時の不愉快な気分は余りいいものではない。 産み付けられた卵から孵った幼虫が中身を食べているのだが、結構大きいのが入っていたりするのだ。幼虫を見ただけではあまり解らないのだが、クリシギゾウムシの幼虫は穴からクソを外に出さない。穴の外にキクズのようなクソが出ていたら、クリミガなどの幼虫だ。 人にも美味しい栗は、たくさんの生物達にも美味しい存在なのだ。カミキリムシの幼虫も幹に入り穴だらけにして枯らしてしまう。独特な臭いのクリの花にもハナムグリが花粉を食べにやってくる。 |
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クリにとって枕木向けの伐採も大変な危機だったが、最大のピンチはクリタマバチの被害だった。卵を産卵されたクリの幼芽は春に葉をひらくように成長できずにこぶ状に変形してしまう。赤い木の実のようなコブで、やがてその木は枯れてしまうのだ。
天然のクリの林は1940年代のクリタマバチの大発生による被害で現在とても少なくなってしまった。クリタマバチは中国からきた苗木について岡山県に来たらしく、それから全国に分布してしまった。 |
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栽培品種はこのクリタマバチに強い品種「筑波」「利平」などが作られるようになり、天津甘栗やマロングロッセに負けない栗きんとんや栗ようかんなどのお菓子に加工される。 このクリタマバチだがネットで調べていたら、東京都の奥多摩湖畔公園のページにはクリタマバチを「ハクサンボクエダサンゴフシクリメコブズイムシ(クリタマバチ)」と、紹介していたのだ。 栗は偉いが、この長い名前のクリタマバチも「ンー」さすが害虫、なかなかしぶとい! |