きんや先生の雑木ばなし    vol.35 蛍(ホタル)は「トムトムキキル」と「ニンニンケプ」



 “夏がくれば思い出す〜” 尾瀬には行ったことがないから思い出しようもないのですが、この時期思い出すものとして、花火、生ビール、浴衣、お盆等々・・・たくさんあるのですが、「ホタル」もそのひとつなんです。

 高校生のころ近所に先生が下宿していました。国語の先生だったのですが、授業のほかに写真や編集のことなどいろいろ教えてくれた先生でした。夏になると友人二人と下宿に遊びに行き、男だけでホタルを見に行ったものです。

 そのころ水田にはまだホタルが沢山飛んでいました。といっても、山沿いの奥まった川の近くの水田ですが・・・。持って行ったお菓子の袋いっぱい捕まえ、しばらくながめては、放して帰ってきたものです。
 不思議ですね、手で捕まえると熱くなるような気がします。

 

 ホタルは日本に45種類いるのですが、成虫がいわゆる発光するのはそのうち14種類なのだそうです。光の点滅でオスとメスの会話をするわけですから粋ですね。

 光るのは求愛のためと、もうひとつは敵に私は「おいしくないよ」と警告する役目もあります。幼虫も光るのはこのためです。ホタルはテントウムシみたいに敵に襲われると嫌な臭いを出す習性があります。「私はおいしくないよ」とか、「毒があるよ」という虫は、鳥や他の虫がまちがって食べないように、自分を目立たせることによって身を守っているんですね。

 昼に活動するタイプのホタルは光も弱く、フェロモンも同時に使って交信しあいます。昼に元気なホタルもいるのです。有名な“ゲンジボタル”や“ヘイケボタル”の幼虫は水の中の巻貝などを食べて育ちます。ホタルの幼虫は水の中で生活するものだと思われがちですが、このタイプの方が実は珍しく、陸にいて、カタツムリなどの陸の貝類を食べる種類の方が多いのです。しかし、成虫になるとエサを食べることもなく、交尾して卵を産んだら死んでしまうというはかないホタルなのです。

  私たちは、ホタルは光を点滅させるというイメージですが、面白いことにアイヌの人たちは少し違ったようです。
 アイヌ語でホタルのことを「トムトムキキル」という地方と「ニンニンケプ」という地方があります。この「トムトムキキル」は『光り光りする虫』という意味で、「ニンニンケプ」は『消え消えする虫』だそうです。
 「あっ、また光った、光った、また光った」と喜ぶ人と、「あっ、消えた、消えた、また消えた」と思う人たちがいるわけだから、人間の発想というのは面白いのです。

 昔からなじみの深いホタルですから、植物にもホタルと名のついたものがいくつかあります。「ホタルブクロ」や「ホタルカズラ」、「ホタルイ」などがあり、特にホタルがいそうな所に生えている「ホタルイ」は、やっかいな水田の雑草でもあります。
 カヤツリグサ科の一年草で、60センチほどに育つ丸い茎をたくさん伸ばします。「イヌホタルイ」はそれよりひとまわり大きいタイプです。

 

 私の死んだ父親が、大戦中フィリピンを逃げまわっていたとき、「ホタルが集まって来てとても美しく輝く大きな木があった、もう一度見てみたい」とよく言っていました。とうとう見ないで死んじゃいましたが・・・。

 夏になるといろいろ思い出すことがあります。

 

多田先生にお便りメールを送ろう!花に関する質問やコラムの感想など何でもOK。
お名前
内 容
 
質問へのお返事はホームページ上でお答えします。

 みなさんも「夏の思い出」をたくさんお持ちでしょう。忘れられずに大事にしまってある思い出や、特に印象に残っていることなど、記憶の引出しから取り出して教えてください。
                       kinya


わがままシャベルのTOPへもどる
◆エフガーデン◆きんや先生情報/雑木ばなし-蛍は「トムトとキキル」と「ニンニンケブ」 無題ドキュメント 無題ドキュメント 無題ドキュメント